Five Skill Patterns ADK を使うなら押さえておきたいこと
Google Cloud の《5 Agent Skill Design Patterns Every ADK Developer Should Know》をもとに整理
なぜ設計パターンが要るのか
SKILL.md の YAML さえ書ければよい、と思われがちですが、あれは器にすぎません。
難しいのは中身の設計です。手順を飛ばさせない、当て推量をさせない、毎回ばらばらの形で出させない——どうするか。
その答えが、この五つのパターンです。
01
五つのパターン、ひと目で
| # | パターン | ひとことで |
|---|---|---|
| 01 | Tool Wrapper | 必要になったときだけ専門知識を読み込む |
| 02 | Generator | テンプレートで出力の形をそろえる |
| 03 | Reviewer | チェックリストで品質を見る |
| 04 | Inversion | 十分に聞いてから手を動かす |
| 05 | Pipeline | 段階を崩さないパイプライン |
02 — Tool wrapper
Tool Wrapper
その場で専門家になる
困りごと
フレームワークの資料(FastAPI の作法、React の規約、SQL のスタイル指針…)をぜんぶシステムプロンプトに詰め込むと、トークンは膨れ上がり、注意も散ります。
やり方
SKILL.md に「この語が出たら」という引き金を書いておきます。
利用者がそのフレームワークに触れたときだけ、references/ から対応する作法を読み込みます。
# 引き金
when: 利用者が "FastAPI" または "API endpoint" に触れたとき
load: references/fastapi-conventions.md
# エージェントの動き
then: 読み込んだ作法にしたがって開発する
トークンを使うのは、必要になったときだけ
効くところ
コンテキストを散らかさずに済みます。関係のあるときだけ専門知識を入れるので、無関係な情報に引っぱられません。
03 — Generator
Generator
テンプレートで形をそろえる
困りごと
自由に書かせると、レポートの形が毎回変わります。目次があったりなかったり、三段落だったり三十段落だったり。
やり方
あらかじめテンプレートを用意し(assets/ に置きます)、ゼロから組み立てさせるのではなく、空欄を埋めさせます。
# {{title}}
## Executive Summary
{{summary: 要点を 2〜3 文で}}
## Key Findings
{{findings: 箇条書きで 3〜5 項目}}
## Risk Assessment
| リスク | 深刻度 | 打つ手 |
|---|---|---|
{{risks: 表に入れる}}
## Next Steps
{{actions: 優先順に並べる}}
効くところ
形と中身を切り離します。モデルは中身に集中し、形はテンプレートが保ちます。
04 — Reviewer
Reviewer
チェックリストで見る
困りごと
出てきたものは「合っているように見える」のに、穴があることがあります。端の条件、セキュリティの確認、チームの取り決めが抜けている。
やり方
別立てのレビュー用スキルを用意し、references/ から専用のチェックリストを読み込みます。
一項目ずつ確かめさせ、深刻度で分けて報告させます。
Critical
セキュリティの穴、情報の漏れ
Warning
性能、手入れのしやすさ
Info
書き方の提案、定石
効くところ
つくる筋道と、見る筋道を分けます。一方が手を動かし、もう一方が検める——コードの PR レビューと同じ形です。
05 — Inversion
Inversion
十分に聞いてから、動く
困りごと
「サイトをつくって」の一言で、いきなりコードを書き始める。出てきたものは求めていたものとかけ離れている。モデルはもともと、まず動こうとするからです。
やり方
ふるまいを反転させます。実行役ではなく、まず聞き手をやらせます。 飛ばせない関門(non-negotiable gates)を置き、必要な条件がそろうまで着手させません。
✕ ふつうのエージェント
利用者:「サイトをつくって」
Agent → いきなり React の作業を始める…
✓ Inversion の場合
利用者:「サイトをつくって」
Agent → Phase 1:聞き取り
「どういう種類のサイトですか」
「誰に向けたものですか」
「参考にしたい見た目はありますか」
→ Phase 2:すり合わせ
「整理するとこうなります。これで合っていますか」
→ Phase 3:着手
開発を始める
効くところ
先に聞くことで、埋め合わせの作り話を減らせます。手元の情報がそろっているほど、出てくるものはよくなります。
06 — Pipeline
Pipeline
段階を崩さないパイプライン
困りごと
手数の多い仕事では、段階を飛ばす、まとめてしまう、途中の肝心なところを忘れる——とくに扱う情報が長くなるとそうなります。
やり方
スキルを崩せないパイプラインとして設計します。段階(phase)をはっきり決め、 その間に関門(gate)を置きます。いまの段階を終え、人の確認を得るまで次へ進めません。
Gate
Gate
効くところ
読めない文章生成を、制御でき、繰り返せ、あとから追える状態機械に変えます。
07
押さえどころ
Progressive Disclosure(段階的に開く)
ADK の SkillToolset は、必要になったときだけ指示と文脈を読み込ませます。トークンを節約し、焦点も保てます。
形と中身を分ける
SKILL.md は決まった器を用意し、これらのパターンが決めるのは「どう考え、どう動くか」という内側の筋道です。
組み合わせて使う
混ぜて使えます。パイプラインの最後にレビューを置く。ジェネレータの前に Inversion を挟んで条件を集める。
08